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正直に言おう、俺は困惑している
いつ自分の番が来るんだろうなぁ、って嫌な方でドキドキしていたら布がバサッと外されて
何だ何だと思っていたら籠の扉も開けられて早く出てこいと言われた
どんな感じで俺達の売買がされんのかはまったく知らねぇけど、ちゃんと買い手に実物を見せたりはしないんだぁ、って
予約制だったりすんのかな
連れて行かれた先は、新たな主人…達?のいる外で
空は厚い雲に覆われていた
次の主人達は前の主人とは違って綺麗な顔してんなって思っていたら、その中には小さな子供もいて
それは相変わらず死んだ目をしているエニスだった
先にこいつがいるって事は、エニスと同時にじゃなくて、後から俺は連れてこられたって事だが
どうしてそんな二度手間を
と考えて、エニスが俺も買うように言ったのではないか、と言う推測が頭をよぎった
けどそんなの全然根拠がねぇし、考えたって仕方ねぇ事かって思って、もういいやって思考するのを諦めた
新たな主人は連れてこられた俺の拘束具をすぐに外して、売人に全部を投げ渡してたのはちょっと驚いたな
「はよ乗れ、帰るぞ」
金髪の黒の面積の多い主人は不機嫌そうに言って、さっさと馬車に乗り込んでいってしまった
目線というか目つきというか、オーラ的なものがなんか怖い人だなぁ…
閉じることが可能になった口の中で、奥の歯がガチガチの音を鳴らしそうになっていて
足は既に震えていた
そんな俺を見かねたかのように声をかけてきたのは意外にも売人だった
「良かったな、優しい主人じゃないか」
役に立って来いよ、と背中を優しく押されて
乗りな、というジェスチャーをする青い眼鏡の人とヘルメットの人に促されて、エニスと一緒に馬車の中へと乗り込む
荷台じゃなくて、ちゃんと人が座るようの内装で
本当に座っていいもんかと戸惑ったが、エニスがなんの躊躇いなしに座っても、金髪の主人は何も言わなかったから恐る恐る座った
先程の二人の主人も乗ってきて、ヘルメットの人はエニスのすぐ隣に、青い眼鏡の人は金髪の人の隣に座った
主人達の座っている場所に俺達が座ってるのが、妙に恐ろしくて
今は何も言われてないけど、主人達の屋敷に着いた後にあれやこれやと言われて罰せられる未来が想像できて、一人で勝手に怯えた
優しさが怖い
油断させて、今後の罰がより苦しくなるようなスパイスのようにしか思えなくて
俯きながら下唇を噛むようにして、奥歯を鳴らさないようにするので精一杯だった
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作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta
作成日時:2024年3月20日 2時